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ロゴタイプや図形を作成すると、それぞれの形態に特有の、たくさんの錯視(錯覚)や視覚的に調整すべき問題が発生します。数学的、数値的な形態のままでは視覚的に不完全で、汚いケースが多いということです。したがってブラッシュアップ(精緻化作業)は不可欠であり、非常に細やかで慎重な調整を行っています。全てのブラッシュアップ内容を列挙することは難しいことですが、多くの形態で発生する頻度が高い事柄を挙げています。結局のところ、それらの調整は経験を頼りに感覚的に行う以外ありません。パソコンソフトの設定で一発というように、数値的に簡単に調整することは全く不可能です。したがって個別に完全な手作業で行いますので、それ相応の期間が必要です。
このブラッシュアップ作業は特に「造形としての完成度」(→詳細)のロゴの耐久性に影響し、質感が必要な案件にとってこの作業を怠ると、組織規模の大きさに比例して後々決して小さくない問題に発展する可能性があります。
特にVI開発において重視する必要があります。適切な意味が表現され、最初は新鮮に受け入れられたロゴてもその新鮮さは早いもので数分で薄れてしまう場合もあります。しかし「造形としての完成度」(→詳細)が高いと、新鮮さが薄れても優れた造形として長期的にポジティブに受け入れられ「財産」になりえます。つまり長期的視野で考えた時、ロゴの質感を高めるブラッシュアップ作業は重要です。
現代人は、たくさんの比較対象となりえるロゴに日々接触しています。
常に多くの比較対象と無意識に接触している人々に、造形としての完成度が低いままで露出が増加したロゴは、「なんとなく」の違和感や乱雑さ、稚拙さ、マイナー感と受け止められる可能性があります。接触機会が蓄積された結果、ブランドイメージの「漠然」とした安っぽさや印象の悪さに結びつく可能性もあります。
「なんとなく」「漠然」という、一言で表現しづらく理屈とは程遠い感覚的な部分は、マーケティングやビジネス上では表面化しにくく明快でないため、軽視・無視されます。
しかし人の無意識内に膨大な情報が蓄積されているように、顧客内では日々の生活の中で接しているロゴの「感じ」が蓄積され、気分に変わっていくので重要なことです。
顧客内で無意識に感じている質感の印象が、「なんかダサい」「安っぽい」「雑な感じ」など言葉で表現されるに至ったら、その顧客にとってそのロゴはアウトです。
質感を高めておく必要がある案件は、ロゴが重要なブランド資産で、その良し悪しが売り上げに影響しており、且つ以下のような条件の場合に必要になってくると考えられます。
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重要なアイテムの中にサインなど大型で表示されるものがある
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BtoC領域が主で、多岐にわたる製品に表示され、広く人々の評価を仰ぐ環境にある
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エンドーサーとして複数企業のコミュニケーションで表示される
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ロゴが使用者や顧客において、自己表現目的で使用される(例えばファッションアイテムで積極的に使用される)
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タッチポイントで印刷媒体ツールが非常に多い・・・等
但し、すでにブランド認知や顧客との結びつきが十分な企業では、ロゴの「造形としての完成度」の重要性が薄れ、ブランドイメージ醸成や売上げに対し特に影響しなくなっているケースもあります。
一方、ウェブは解像度が低く、精妙な差異が表現しきれないためブラッシュアップレベル(精緻度)によっては超過品質になります。したがってアイテムがウェブ中心でサインなど大型で表示される機会や印刷媒体による露出が大変少ない、VI規定もさほど必要なく管理可能な案件は、質感を高め過ぎてもその必要性が薄れます。その場合、ある程度までブラッシュアップレベルを低く抑えた見積もりを出し、作業時間を短縮することで開発コストを抑えることができます。
またベンチャー様、起業におけるスタートアップ段階でのVIは、アイデンティティの本質を適切に捉えた普遍的意味やブランドターゲットの共感域を捉えた表現、また本当に必要かつ効果があるアイテム、それらをしっかりと押さえておくことが最も重要です。そのため高い質感の必要性は低い案件が多いのは確かです。ただし、対象ブランドや組織の成長・拡張によってある規模や段階に達した時、ロゴの質感とVI全体の見直しを図る必要性が将来的にあるのかどうか見据えておいてください。
図形の調整
「造形としての完成度」を上げるためブラッシュアップを行い、質感を向上させます。
また量のバランス等といったデッサンに関する事以外に、数値的に正確で厳密な図形を描いた場合は、様々な錯覚が生じます。それぞれ固有に生じる錯視もあり、複数の種類の形態が影響しあって生じることもあるため、全て挙げることはできません。したがって多くの例にあてはまる基本的な事柄を挙げています。これらの例は、文字をデザインしたロゴタイプにも全く同様に当てはまります。
ラインが交差するときに生じる錯視
最も基本的な錯視です。垂直のラインと斜めのラインが交差した時、錯覚が生じます。数値的に構成したままでは斜めのラインは左右でズレが生じ、つながって見えなくなります。他にもっと細かい部分で問題が生じますが、下図では主に斜めラインのつながりについて説明しています。
ラインが交差した際に生じる錯視に関して直線の修正は簡単です。しかし曲線で構成された場合、下図のような数学的に単純な交差でも、複雑な問題が発生し、それらの完璧な精緻化となると大変難しくそれなりの日数が必要になります。
下図では修正すべき主な問題点として、基本的な左右のつながりのズレ(A1・A2)をはじめ、垂直部分のズレ(B)、太さの見え方と曲線の歪み(C)を挙げています。
・A1、A2は右側のラインをそのまま左に延長した場合、赤で示した近辺に位置します。左側のラインとズレが生じています。
・Bは直線下部の右辺が左側に引っ張られ、直線上部よりやや細く見えます。上図直線同士の交差例では、斜線が細いため目立ちませんが若干発生しています。
・Cは特に指し示している近辺から左にかけて、曲線が歪み汚いラインになっています。交差することで曲線が崩れて見えてしまうことと、下の項目「縦と横のラインの太さに存在する錯視」によるものが関係しています。
・他、交点部分の色面の強さを調整する必要があり、細くするなどして弱くしています。
上図の直線同士の交差例では目立ちませんが、ウェブでは解像度が低く差異を表示しきれていないものの、若干の調整は行っています。
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曲線と直線の連結、曲線同士の連結に生じる錯視
直線と曲線を連結した場合(問題点:C)、またS字形に連結した場合(問題点:B)、その連結付近で角が生じるなど錯視が生じます(主な問題点と参考を参照)。したがって、数学的な真円を連結する事は不可能です。これらの錯視の修正は非常に困難で神経を使いますので、それなりの日数が必要です。
直線と曲線の連結では錯視を抑える事はできても、完全になくすことはできないため、基本的に曲線と直線の連結は不可能と考えています(問題点:C)。
下図の例では錯視を抑制する手段をとっています。これについては直線をなくし、限りなく直線に見える曲線にするという手段もあります( >>足立成和信用金庫のシンボルマーク開発例を参照)。
また、問題点Bの周辺で曲線に歪みが生じています。
下図は、当所が足立成和信用金庫のVI開発で制作したシンボルマークデザインです。直線と曲線が連結しているように見えますが、直線に見える部分は、実は直線ではありません。限りなく直線に見える曲線です。そうすることによって錯視(上記、問題点:Cを参照)を修正しています。当所では頻繁に行うやり方です。数学的な直線部分はほとんど使いません。
ただしこの方法は、直線に見せる部分の曲線具合が強すぎると柔らかすぎる印象になり、シャープさが失われることがあります。ロゴ開発の長い実施経験と確かな眼力、細かい神経が必要です。( >>実績:足立成和信用金庫 )
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横と縦のラインに存在する錯視/上下中心点(重心)の錯視
最も基本的な錯視の例です。横のラインと縦のラインが並んだ時、太さに錯覚が生じます。数値的に全く同じ太さにすると、横のラインは太く縦が細く見えてきます。及び横のラインが3本以上並んだ時、真中のラインがやや強く見えてくる時があり調整が必要です。文字の場合、一番下のラインは一般的にやや太くします。
また、
上下の中心点(重心)を数値的に求めると、やや下に位置します。若干ですが上に位置するよう修正が必要です。下図では真ん中のラインの位置を、1ピクセル上方に移動、修正しています
ロゴのブラッシュアップ(精緻化作業):ロゴタイプ特有の精緻化
ロゴタイプのブラッシュアップについては、書体(フォントデザイン)の基本と同じ見方です。ただしフォントの多くは文章として組まれた場合の読みやすさを前提としています。ロゴタイプの場合は、基本的に文章中に組み込まれることは推奨されません。フォントと異なり、識別・意味・展開の特性(→詳細)が前提となります。独立して認識されるため、アイソレーションの意識が必要になります。具体的にアイソレーション規定をするか否かは場合によります。
したがって書体の基本が特にあてはまらないことや、もっと繊細な調整が必要になる項目、印刷機の解像性能・再現性向上によるロゴタイプ独自の着眼点もあります。
ウェイトの調整
フォントのようなファミリーを構成する必要がある案件はほぼありませんが、ロゴタイプを構成する各文字の密度(黒味)の調整は均一にする必要があります。また独立した造形としての完成度が要求されるため、より繊細さが必要です。
- >> 株式会社モリサワ/ウェイトの図解ページへ
- >> 感性的、心理的側面に対する影響(作成中)
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各文字の重心と、ふところの調整
和文ロゴタイプでは、文章組みが主なフォントと視覚的差異を意識的に持たせる、識別性や可読性が優先される、横組が主になり現代的な感性が要求される等の理由で、多くはふところを広くしています。
英文ロゴタイプは和文文字と基本設計が異なるため、ふところの意識はありません。似通ったところでは各文字の幅と高さ、大きさの精緻化です。ただし重心については感性的な意味で、和文と同様に重要です。
- >> 株式会社モリサワ/重心とふところの図解ページへ
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再現精度の向上による硬さの緩和
現在のデザイン開発環境はデジタル化により、デザインの制作から入稿まで、終始デジタルデータで行うことが一般化しました。また印刷機の高性能化や、工程など印刷環境のデジタル化も進みました。それによって再現性の精度が高まり、非常に高精細な表現がなされるようになっています。
そのような環境下では鋭角的でシャープに表現されますが、硬い印象になりすぎることがあります。場合によっては硬くなることで、なんとなく質感に欠ける印象につながることもあります。当所ではアイテム展開された時にそのような事態が予想される場合、パッと見た限りではわからない範囲で角を丸くする処理を行います。特にサイン等、大型で表示されるアイテムがある案件に当てはまりますが、現在はオフセット印刷でもその印象は再現されます。
一見分からない範囲ですので、解像度が低いウェブ上では相当大きく表示しないと表現されません。したがって中心となるコミュニケーション手段がウェブの案件については、意味をなさない場合があり超過品質になります。
下図は、当所が文具房のVI開発で制作したロゴデザインを例にしています。
( >>実績:文具房 )

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